レイトショーならぬレイトミュージアム

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「世紀末ウィーンのグラフィックデザイン、そして生活の刷新にむけて」

京都国立近代美術館で行われている絵画展だ。

 

「仕事終わりに行きたいんだけど」

前情報も何もなかったけれど、

「仕事終わりに夜の美術鑑賞」

シャレた響きに惹かれて行ってみることにした。

 

元々美術館へ行くのは好きだった。

美術館は私にとって宇宙にいるかのようだからだ。

アートの一点一点を眺めることははまるで天体観測のようだと思う。

 

古ければ古いほど、

アートが生み出された時代と、

それを鑑賞している現代の私と、

またその2つの時代の間に生きた人々がいるという

当たり前のような奇跡に胸が震えてしまう。

それは今日光る星が何百光年昔に発されたものだと知ったときの

心躍った子供時代を思い出させてくれる。

 

どうも美術館は2015年に360点のウィーンのグラフィック作品群を収蔵したようで、

それらが1897年から第一次大戦までに生み出されたものらしい。

ウィーンの画家と言えば......誰だっけ?

お粗末な知識でのこのこやってきたので丹念に説明文を読む。

見たことがある絵......

あ、クリムトだ!

 

そう、グスタフ・クリムトを会長として設立されたウィーン分離派

今までの芸術のあり方に疑問を持ち、古典と現代の融合を試みたとあった。

今で言うインフルエンサーやパワークリエイターといったところだろう。

どんな時代も人々の価値観を引っくり返すというのは生半可なことではなかったが、

成功させたからこそ100年以上たった今でもその名が残るのだろうなと思った。

 

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日本がの影響があるなと見ていると、
16世紀にアルブレヒト・デューラーを頂点に衰退していった木版画も、19世紀後半に日本の多色木版画(浮世絵)の影響を受けてブームが再熱。1900年に日本美術工芸特集を機に日本から学ぶ人が出たそうだった。

最初は技法をそのまま取り入ることから始まったが、後にリトグラフなどの技法と掛け合わせたり、額に入れて飾るなど、当時の日本とは違う発展をしていったことに注目したい作品群だった。

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このあたりはそんな感じ。

ひとつのアイディアや技法だけでなく、それぞれをを掛け合わせることが大事。

そうすることで、ただの模倣ではなく、まったく別のアートが生み出されるのだ。

まるでビジネスだ。

個人が多様な生き方の選択ができるようになった現代では、

そのように自分のスキルの精査と活かし方をより良く見つけた人が生きやすい時代になった。

 

「あ、いいな」

そう思ったものを素直に受け入れ、取り組んでみて、

自分のカラーにしてしまう。

また、新しい楽しみ方も型にはまらずに考えてみる。

100年以上も前の人たちの生きる姿勢に、今日の自分を照らし合わせてみる。

 

私は今挑戦しているだろうか。

心から汗がでるような熱い想いを持てているだろうか。

 

仕事終わりの静かな美術館で熱い思考は続いていった。